『クビシメロマンチスト』西尾維新

クビシメロマンチスト 人間失格・零崎人識 (講談社文庫)

クビシメロマンチスト 人間失格・零崎人識 (講談社文庫)

戯言シリーズ第二弾。

心酔者による手放しの絶賛とアンチによる過剰な批判。西尾維新ほど毀誉褒貶相半ばする作家も珍しい。西尾維新文庫なんてわざわざ銘打って売り出すところがまた批判の一端を買ってしまうんだろうけど、個人的には決して祭り上げられた偶像などではなく、売れるべくして売れた作家だと思っている。確かに文句をつけたくなる箇所も多いし、冗長な言い回しも度が過ぎるとうんざりする。でもそれを補う非凡さがところどころで光っていて毒気を抜かれてしまう。少なくとも前作と今作は出来は悪くないと思います。おもしろい。デートの食事の席でいーちゃんが巫女子に長々と戯言をぶち始めた時にはどうしようかと思ったけど、裏にあんな意味が込められていたとは。あそこで西尾維新の術中にまんまとはめられてしまった以上、ちょっと自分には批判する資格がないです。あれは巧い。