『水晶内制度』笙野頼子

水晶内制度

水晶内制度

女なのに。女だから。女にしては。この世の中いたるところにいわれなき女性差別ははびこっている。そんな現状に反撃を試みるべく笙野頼子は、極端な男性蔑視がまかり通る女性国家ウラミズモを立ち上げた。ウラミズモでは、男性は隔離され、店にも基本入れず、外を出歩く際には首輪を繋がれる。このアイロニカルな架空国家を通じて、笙野頼子は日本の男性社会の欺瞞と矛盾を暴き立てる。女流作家とついついカテゴライズしてしまう私になんかは本当に耳が痛い話だ。私としては別に悪気はなくて便宜上そうしてるに過ぎないんだけど、この手の無意識の差別が一番たちが悪いんだろう。少し反省します。今の日本の文学界でこれだけのスケールのでかさと目的意識を持ち、切れ味鋭い文章を追求しているのは笙野頼子をおいてそうそういない気がする。そこに妥協はなく、あるのは作家として一人の人間としての矜持である。笙野頼子にとって文学とは戦いなのだ。