『エレンディラ』ガルシア・マルケス

エレンディラ (ちくま文庫)

エレンディラ (ちくま文庫)

百年の孤独」の後に発表された短編集。

マルケスの短編は、短編というよりは長編を短編の長さに切り取ったものという印象を受けた。物語に奥行が感じられる。物語の始まる前にも物語はあったのだろうし、物語が閉じられても見えないところで物語は続いていく。読者は連綿と続く物語の一部を見ているに過ぎない。作品が微妙にリンクしているところも物語の無限の広がりを感じさせてくれる。マルケスの物語る力を存分に味わうことができる短編集。

ところでマルケスの世界観は、私達から見ると荒唐無稽で奇想天外なファンタジーに見えるのだけれど、現地の人から見れば決してそうではないらしい。南米の実際の風習や自然から着想を得てそれをマルケス流にアレンジしているに過ぎないとのこと。ほんと世界は広いです。