『サイコロジカル』西尾維新

サイコロジカル(上) 兎吊木垓輔の戯言殺し (講談社ノベルス)

サイコロジカル(上) 兎吊木垓輔の戯言殺し (講談社ノベルス)

サイコロジカル(下) 曳かれ者の小唄 (講談社ノベルス)

サイコロジカル(下) 曳かれ者の小唄 (講談社ノベルス)

続いてシリーズ第四弾。

この巻で玖渚といーちゃんの過去だとか二人の歪んだ関係とかに徐々に焦点が絞られつつある。またミステリーを根幹から否定するようなオチが用意されていて、既存のミステリーとは決別するという態度の表明がはっきりとなされているのもポイント。ただ、文章に対する戯言の比重がいや増してきてて、内容的には一巻で十分収まると思う。まあ、そこが西尾維新らしさなのか。空虚で薄っぺらな戯言をひたすら垂れ流すいーちゃんにはほとほとうんざりさせられるけど、その姿勢を是正する役割の鈴無さんを配置しているところが救いとなっている。戯言に傾きすぎないよう哀川潤だったり浅野みいこだったり常にシリーズ通してそのポジションを務める人は存在してて、西尾維新って何気にバランス感覚には長けてる気がする。