『きみとぼくの壊れた世界』西尾維新

きみとぼくの壊れた世界

きみとぼくの壊れた世界

さらにおまけで西尾維新

売春と兄妹愛と結構重めの話題がでてきたり、彼なりのミステリー論が語られたりと意欲作という印象。相変わらず踏み込みは浅いのですが。妹のキャラが強烈で、ヤンデレっぽいかんじなのだけど、主人公であるお兄ちゃんに詰め寄る場面はすごかった。

「やあ、やなのぁ!お、お兄ちゃん、もう、わがまま言わないから、夜月のこと、見捨てないでぇ!これからは、ちゃんとお兄ちゃんの言うとおりにするからっ!言うこときくからっ!一人にしないでっ!う、うわあ…うぐ、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい―お兄ちゃん、許してぇ…」

一部抜粋。こんなセリフが続く。よくもまぁ、こうも妄想炸裂の文章が書けるもんだと素直に感心した。逆にプライド高いと恥ずかしくて絶対書けないと思うのだけど。これぐらい真顔で書けるくらいじゃないと物書きとしてはやっていけないのだろう。西尾維新の小説が作者の自己満足に堕ちるぎりぎりのラインで踏みとどまっているのもこういうところなのかもしれない。この妹のおかげで多少読めるお話にはなっている。